尚絅居の帯

私がこの帯を初めて手にとった時、色糸で表現された柔らかさと特有の風合いに目を奪われました。
そして私の心を強く惹きつける力を感じました。
またこの帯の魅力は、その見た目だけでなく、とてもしなやかで、程よく張りがあるため、締め心地が良く,お太鼓の形もしっかりと決まるところにもあります。
この帯は、尚絅居という図案(正絵)・デザイン、製紋、糸染、製織りを一貫して行っている工房で織られたものです。
「尚絅」とは、中国の古典『中庸』の一節、「衣錦尚絅」(錦を衣て絅を尚ふ)、すなわち、錦を着た場合は、その上から薄物をかけ、きらびや模様を表に出さないようにするという君子の道のあり方を説いた句に由来しているそうです。
このような素晴らしい帯に出会わせて下さった方々に感謝をすると共に、私が装うことで生徒さんや和装に興味をお持ちの方々に魅力を伝え共有していけたらと思っております。